夜19時から朝7時まで1時間に1度10分間、コルセットと歩行器など転倒防止器具を装着し、トイレに行く工程を朝まで繰り返した。その回数は12回。懸命に繰り返した。

午前は心理士と面談した。現時点、妻が一人でいられる時間は30分が限界かもしれないと指導を受けた。

午後はリハビリの医師と、松葉杖を利用して模擬階段を上ったり下ったりする訓練を実施した。

12 左手骨折との闘い

■2021年12月9日

妻が左手の指を動かし「自分の手ではないみたい。うまく動かないの」とポツリと漏らした。今までは各所の激痛で身体全体に何が起きているのか理解できていなかった。最近になり、ようやく細かい感覚の違いを感じるようになったのだ。

次はどんな問題が起きたのか心配になり、慌てて看護主任に来てもらった。医師に連携頂きレントゲンを改めて確認したところ、左手の人差し指、中指、手のひら等、計3カ所を骨折していたことが判明。

医師からは「画像からすると、10月20日段階で左手は手術が必要な重症レベルだった。頭や背中、腰等主要部を注視し見逃してしまった」と説明があった。しかしひと月半経過したため、変形した状態で骨は固まってしまった。

妻自身も他の全身の痛みと発熱で、左手の骨折の痛みなど小さなものは最近まで気がつかなかった。「自傷行為だから私が悪いのです」とうなだれる妻。私は「仕方ないね」と納得はできないが、納得するしかない。言葉はそれだけしか絞り出せなかった。

「左手3カ所の骨折の痛みを忘れさせる全身の痛みってどんなレベルだ?」

改めて妻を襲う全身の痛みの強烈さを認識した。また、機能が低下した左手の代わりに、生涯、私自身がサポートしてあげると心に誓った。

【前回の記事を読む】自宅療養許可の条件は3カ月間24時間介護ができること。妻は泣いて喜んだ

次回更新は7月26日(金)、16時の予定です。

 

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