パトカーで病院まで送ってもらったので数分で到着することができた。

病室では俺が目を覚ましてステファニーを待っていた。

俺の無事を見たステファニーは安堵した。しかし、一息出来る時間は与えられなかった。ベットで横たわっている俺と、そばにいた院長は深刻な顔をしていた。告げられたのは病名は不明ということだった。

「少なくとも体が原因で意識を失ったわけではありません。今回の原因は外部から体内へと侵入したと考えられます」

「一体何が侵入したわけ」精神錯乱状態のステファニーを見て院長は、別の患者が俺の病室に入ってきたと例えるほどだった。

「一番考えられるのはウイルスや感染病ですけども、これらの病原菌でしたら検査段階で見つけることができます。よって、これらが侵入したとはいえません。つぎに、薬物やドラッグですが、ギルバートさんの尿からはそれらのものは検出できませんでした」

「まだ発見されていない病原体が潜んでいるということですか?」ステファニーが院長に聞く。
院長が深刻な顔をしていたのがわかってきた。

「残念ながらそれは否定できません。ギルバートさんから、いろいろお話を伺ってみたところ精神的ダメージの可能性が高いと判明いたしました。ギルバートさんは以前の戦争でいくつかの敵の部隊を壊滅させていましたよね。

勿論我々の命も関わってくる戦いで、あなたの功績のおかげで私たちの命もこうしてあることですので、ギルバートさんが行った行為にあれこれいう権利はありません。しかし、この出来事であなたはノース国の国民に命を狙われても致し方無い立場に置かれているのではないでしょうか。

たとえ兵を全滅させても、血がつながっている人があなたの居場所を突き止めて復讐しにくることも考えるでしょうし……」

俺はこの時、この国にスパイが潜んでいると戦争終結後にライトと話した時の話を思い出す。勿論潜んでいたとしても、俺を狙っているはずはないのだが……。

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