「エガミの様子が見えるの?」
カイユはアンに聞くと彼女は小さく頷いた。
「実は、友達がエガミに入ったんだ。ベルサって女の子、見てない?」
カイユはアンにすがるように聞いた。
アンは少し考え目を瞑った。
「小説の1巻で書かれていたのは、ムスクがモンドへ入るまでだった。ムスクが、この世界に来たのは昨日。だとするとアンにはエガミの未来が見えている事になる」
そうムスクは推測して言った。
「多分、彼女は未来なのか、過去なのか分からなく、色んな事が断片的に見えて、それをノートに書いているだけなのかも知れません」
そうメイサは言ってから席を立ち外すと、また直ぐに戻って来るが彼女の手には本が在った。
「何かのお役に立てれば……」
そう言うと、雲海のエガミの2巻を差し出した。
「断片的な話を繋ぎ合わせる編集作業に時間がかかったみたいで発売が遅れ、最近ようやく仕上がりました。2巻は、編集作業は出版社のスタッフが行っていて、私も未だ読んでいなく、ベルサさんが小説内にいるのか、どうかは分からないけど……」
カイユは、アンに聞いた。
「ベルサがエガミに入って無事なの?」
アンは何も答えず、サッと立ち上がり自分の部屋に閉じこもってしまった。目を瞑って呼吸を落ち着かせると瞑想状態に入った。メイサはいつもこんな感じよと言うような表情をカイユ達にした。
カイユはその間、雲海のエガミの2巻を読みムスクに聞かせた。
11.EGAMI 小説記憶人
ラムカは起きると魚船の部屋のベッドの上だった。トラゴスが、部屋の前を通りかかりラムカが起きた事に気付く。
「おっ、起きたかい?」
「私、また眠っていた……。皆は無事?あの後どうなったの?」
ラムカが少し困惑していたので、トラゴスが水を持って来て落ち着かせた。
【前回の記事を読む】広大な雲海の海に大小様々な島々が浮かぶ「エガミ」中でも大きな島の三国は争っていて…