そこで私はC子ちゃんの母親にまだ小学生なので、せめて中学に入るまでの間だけでも仕事を止めて家にいるように言ったのである。しかし、彼女は、私の説得には同意しなかった。

結局、C子さんは私の"予言"よりも一年早く、中学一年生の一学期には不登校になってしまったのである。

C子さんのケースは、強いあきらめグセのせいであったが、お母さん自身も、なぜ、わが子がそういうようになっているのか……自分には責任はないのか……このままで良いのか……という反省心が、少しも無かったことが、不登校という結果を生んでしまったと言える。

「わびしい毎日」と「年一回の豪華旅行」

「私が働いていなければ行けないようなお金をかけた旅行に、年に、一回は連れてゆくんです」

「飛行機はファーストクラスで、最高のホテルに泊まるんです」

「私の収入がなければ、できないような事です」と、C子さんのお母さんは、自分に収入がある利点を私に強調する人だった。

しかし、豪華旅行などは一時の楽しみである。

豪華旅行に連れてゆくお金があるなら、毎日のおかずを一品でも増やすとかした方が、豊かな生活と言えるのではないだろうか。

出来合いのお惣菜で栄養バランスの悪い夕食をして、夏休みなど、子供を一人ぼっちで家においていて……それは、わびしい生活に思われる。

乳幼児期には手塩にかける。片時も離れない。身体のみならず、心の成長にも気をつける。子供の食べるものを手作りする。

そのようなつつましやかな日々の中で、一瞬、一瞬を、子供の心に優しさや愛情を伝えながら暮らすことこそ「豊かな生活」と言えるのだと私は思っている。

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