実は、着任後、生まれて初めて日記を書くことにした。当初は備忘録的な目的で、毎夜、ノートパソコンにその日の出来事やお会いした方との会話内容、新たに得たアイスランド情報等を書き込んでいった。

その後、文字だけではなく、写真もデジタルで添付する等、徐々に内容に凝るようになり、結果的には、1ページに1500文字前後で1700ページ以上にわたる膨大な記録となって残った。

アイスランドというと、多くの日本人にとっては文字通り「極北の遠い国」であり、かろうじて一部の旅行好きの人に「オーロラやブルーラグーン」が知られている程度ではないかと思う。

もちろん間欠泉や巨大な滝、氷河といった大自然の絶景が大きな魅力の国ではあるが、これらについては既に多くのガイドブック等で紹介されている。

従って、本書ではまだ日本人にあまり知られていないアイスランドの意外な素顔や魅力を、社会や自然、歴史といった幾つかの項目で取り纏め、ご紹介していくことにしたい。

内容については、思い違いや事実誤認がないよう慎重に筆を進めたが、万一誤り等があった場合には、ひとえに筆者の不勉強によるものであり、ご容赦頂きたい。

最後に、本書を制作するに際し多くの助言を頂いた幻冬舎の編集チームの皆さん、さらには、同時期に現地で勤務していた日本大使館の職員、親しく付き合って頂いた在留邦人の皆さんや外交団の方々、そして何より、公私にわたり親しくお付き合いし、助けて頂いた多くのアイスランドの方々に、厚く御礼を申し上げたい。

2024年3月  東京にて  北川靖彦