『ぼくにげちゃうよ』
文:マーガレット・ワイズ・ブラウン 絵:クレメント・ハード 訳:岩田みみ
出版社:ほるぷ出版
発行日:1976年9月20日(初版は1942年)
対象年齢:2・3歳から
この絵本は、市立図書館の司書さんに教えていただいたものだ。出版されたのはとても古いけれど、ずっと読み継がれている絵本だ。表紙は青色をメインに白いうさぎとそよそよ揺れる草花が描かれている。
──あるところに、こうさぎがいました。あるひこのうさぎはいえをでて、どこかへいってみたくなりました。そこで、かあさんうさぎにいいました。「ぼくにげちゃうよ」すると、かあさんうさぎがいいました。「おまえがにげたら、かあさんはおいかけますよ。だって、おまえはとってもかわいいわたしのぼうやだもの」──
子うさぎと母さんうさぎのやりとりが続くおはなしだが、まるで追いかけっこをしているようだ。そのことばのやりとりがリズミカルで面白くて、私自身が楽しんで読み聞かせをした。
そんな私のワクワクした気持ちが通じたのか、この絵本は、すべてのクラスに大うけだった。その反応の様子は学年ごとにそれぞれ違っていて面白い。
年少さんクラス。
聞いている時はじっくりとおはなしに耳を傾け、読み終わってから「あーおもしろかった」という声が聞こえてきた。
年中さんクラス。
最後のシーンで「やっとつかまったね!」と男の子。
ああ、そうだね。つかまえられたんだ……。逃げることが楽しいだけでなく、つかまることも大切なんだ。男の子のことばにはほっとした気持ちが含まれていたように感じられた。今まで気づかなかったことに気づかされた。
そして年長さんクラス。
絵の楽しさに大喜び。ページをめくるたびに笑いが起きた。
何がそんなに楽しいのだろう、というくらい大喜びだった。
読んでいる私もうれしくなった。
【前回の記事を読む】初めて見る「からすうり」に興味津々。実の中をみようと割ってみると……