エッセイ 小説 詩 せつなさ 恋 2024.05.26 初めて貴方を恋しいと思った。帰りたい、夢の中に。もう此処に貴方はいないから。 わたがしに触れたように 【第4回】 小林 世以子 切なくて苦しくて、それでも君に出会えてよかった この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 恋のよろこびと試練、日常のささやかな愛、等身大の自分……鮮やかでまっすぐな言葉がつめこまれた、100篇の詩を収録。※本記事は、小林世以子氏の書籍『わたがしに触れたように』(幻冬舎ルネッサンス)より、一部抜粋・編集したものです。 雨・涙 雨の日曜日 今朝 初めて 貴方を恋しいと思った。 夢の中ですら 笑顔を作るのが難しかった。 貴方が微笑み返してくれた時 本当に嬉しかった。 帰りたい 夢の中に。 だってもう 此処に貴方はいないから。
小説 『家族の闘病記ピックアップ』 【第3回】 成田 たろう 3月上旬、がんの手術のため妻が入院。腫瘍が3カ月で約3倍の大きさに。全部取り切り、何も問題はないと思っていた、その時は。 【前回の記事を読む】「飲むのも、仕事のうち」その生活が一変!妻ががんになり、ほんの少しの時間でも今は妻と一緒にいたい…千恵のがんの手術で十日ほど入院することから、ご飯の炊き方と洗濯機の使い方だけは教えてもらった。「お米の研ぎ方は、一回目の水のすすぎは浸すだけ。その後、手のひらで揉むようにして、四回ほど洗って、はい、やってみて」私は一回目からしっかりお米を研いでいたので、よく叱られた。私は強情な性…
小説 『居場所がない団塊世代のあなた方に』 【第5回】 阿弥 阿礼 真っ赤な夕日が差し込み、バケツに入っていた魚たちが金色混じりの赤銅色に輝いた。「なんて、綺麗だ…」 【前回の記事を読む】「今日は、魚取りをするから」——夏の小川に響く、少年たちの声隆は、四手網を投げ込んだ小川の上流から、竹棒をリズミカルに、ガチャガチャ、ガシャガシャと鳴らしながら動かし、獲物を網に追い込んだ。幸三は、隆の動きに合わせ、小踊りするようにはしゃぎながら付いて行き、獲物が獲れる瞬間を、息を潜めて、じっと待っていた。10分くらい同じ動きを続けた後、網をゆっくりと引き上げた。四手網の中に…