動物と暮らせるマンション

カナ、ドッグランで恵美さんにいろいろ聞いた。

「病院に合わせて、水木休みで、日に二回、教室を開いているの。雨の日は保護の子たちがいるシェルターで教室を開くことができるの。譲渡会のお手伝いもするのよ。

私、シングルマザーなの。メグに、あっ、院長先生のことね、咲、あっ、娘ね、が帰る時間だろ、もう引き揚げろ、ってよく言われるんだけど、このマンションに住んでるから職住同一だし、娘の咲だって病院内を我が家のようにゴン・チャ引き連れて闊歩している。だから、なんとなく、いつも病院内には終わりまでいるわ。

途中で自宅に戻ったりはするけど、いろんなところ手伝うの。他のところが忙しい時に、手伝いに行くとアルバイト料がもらえる。緊急ヒトデ(人手)ってメールが一斉配信されるの。各部署のタイムカード機にこの名札を読み取らせて、終わった時にまた読み取らせるとバイト料が振り込まれる。そういう仕組みになってるの。

やる気があれば、稼ぐ材料はメグが提供してくれてる。それにスタッフみんなが娘の親代わりもしてくれるの。時々、卵ちゃん、あっ、獣医学部の大学生のバイトさんにね、勉強も見てもらってる。その代わりお手伝いもしてる。大きくなったら獣医になりたいって言ってる。メグも時々勉強見てくれて、だから塾にも行ってないのよ。

でもメグみたいに頭良くないから私立でしょ。お金貯めなきゃ」

「メグって、呼び捨てでいいんですか?」って聞いたら、「みんな古い仲間だから」なんだって。

カナったら、月給はどれくらいなんですか、なんてずけずけ聞いた。

「うううん、ワンニャン教室を会社にしてるの。こう見えて社長なの」

「エー! 凄い。でも、娘さん私立に入れるんでしょ、収入はどのくらいなんですか?」。自分も私立大学なのにカナはしつこい。でも、そんなことも恵美さん正直に答える。

「教室開く時のドッグランとかシェルターの使用料とマンションの家賃を大家さんに渡して、バイトさんにお給料払って、それを差し引いて残る生活費が月二十五万くらいかな」

「えっえっ! 毎月何万くらい貯めるの? ……そんなに!」ってカナのけぞった。

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