◆試算例Ⅲ 単身世帯のケース
ゆとりある老後生活費用月額350,000円(注5
-単身世帯の公的年金月額169,000円(注6
=年金への平均上乗せ額は月額181,000円
単身世帯のゆとりある老後生活費の平均月額350,000円のケースで、30年間の公的年金への「経済的にゆとりのための上乗せ額」を計算します。
181,000円×12カ月×30年=6,516万円
30年間の合計不足額は、約6,516万円となります。
以上のように、生命保険文化センター令和元年度「生活保障に関する調査」のゆとりある老後生活費を基にすると、公的年金に加えて5千万円以上が必要となる場合があることがわかります。
このことが示すように経済的にゆとりある老後生活費は、公的年金だけではまかなえないことは当然のことといえます。
公的年金は、標準的な老後生活を送るために支給されるもので、ゆとりある老後生活費を支給するものではありません。
全国家計構造調査、および生命保険文化センターの生活保障に関する調査には、ライフスタイル別に家計収支のモデルケースが示されています。家計収支のモデルが、だれにでも当てはまるものではないことから、唯一の正解というモデルは存在しないことがわかります。
退職後の最低日常生活費と、経済的にゆとりある老後生活費との間には、大きな幅があることがわかります。
個人ごとに、最低日常生活費に加えて、自らのゆとりある老後生活費を想定する必要があります。自らのライフスタイルを反映したゆとりある暮らしを実現するためには、個人ごとに対策が必要ということではないでしょうか。
注 1 生命保険文化センター令和元年度 生活保障に関する調査 「ゆとりある老後生活費」夫婦二人の共働き世帯、世帯年収 1000 万円以上の階層のゆとりある老後生活費の平均月額 417,000 円を基に試算しました(https://view.officeapps.live.com/op/view.aspx?src=https%3A%2F%2Fwww.jili.or.jp%2Ffiles%2Fresearch%2Fchousa%2Fxls%2Fr1%2F3-7.xlsx&wdOrigin=BROWSELINK)
注 2 男性の平均年金月額約 16.9 万円、および女性の平均年金月額約 10.9 万円の合計額から、夫婦共働き世帯の年金額を約 27.8 万円と推定しました
注 3 生命保険文化センター令和元年度 生活保障に関する調査「ゆとりある老後生活費」夫婦片働き世帯、本人年収別 700 ~ 1000 万円のゆとりある老後生活費の平均月間 395,000 円を基に試算しました(https://view.officeapps.live.com/op/view.aspx?src=https%3A%2F%2Fwww.jili.or.jp%2Ffiles%2Fresearch%2Fchousa%2Fxls%2Fr1%2F3-7.xlsx&wdOrigin=BROWSELINK)
注 4 男性の平均年金月額約 16.9 万円、および女性の老齢基礎年金約 6.6 万円の合計額から、夫婦片働き世帯の平均年金額を 23.5 万円と想定しました
注 5 生命保険文化センター令和元年度 生活保障に関する調査「ゆとりある老後生活費」単身世帯のゆとりある老後生活費を未婚世帯の月額平均 350,000 円を基に試算しました(https://view.officeapps.live.com/op/view.aspx?src=https%3A%2F%2Fwww.jili.or.jp%2Ffiles%2Fresearch%2Fchousa%2Fxls%2Fr1%2F3-7.xlsx&wdOrigin=BROWSELINK)
注 6 今後は、男女で賃金格差が縮小するため、男性の基礎年金を含む老齢厚生年金 16.9 万円を単身世帯の平均年金月額と想定しました
【前回の記事を読む】全国家計構造調査からみる退職後の「老後生活費」。大きな不安を抱く要素は…