ある日のできごと:別れた夫と再会

離婚から二年経ったある日、なんと長男は、台風と北海道胆振東部大地震のはざまで奇跡的に留学し、無事渡英していた。長男が留学でいなくなってぽっかり穴が開いた母子家庭。

学校に行けない次男と、気分転換に駅前ショッピングに出かけた。その頃、札幌には「ここは中国?」と思うほど多くの富裕な中国人が観光に来ていた。日本の家電品や化粧品を爆買いしている。

文化の違いもあるのか自国でない解放感かカップルはラブラブな感じで歩いている。その時、私たちの前に、どうみても五十代は過ぎているカップルが指を絡めてはしゃぎながら歩いてきた。目立っていた。

次男も「やだね、なんか……」と言った。

しかし、どこか見たことのある顔、向こうもこちらをちらっ見て、お互い二度見した。彼らが過ぎ去った後、私は思わず叫んだ。

「今のカップル、男の人、お父さんだった!」。

次男は「そうなの? 全然わからなかった」、ぽつりと言った。

「だってお父さんの顔、覚えていないもん」だったから。

「別にショックとかないよ、今さら」と続けた。

ショックより衝撃。私たちに会う可能性のあるところで、五十歳半ばを過ぎたおじさん。お腹まわりがぽっこり、髪の毛がなくなっていた。そんな元夫が、恥じらいなく新恋人と駅前を指絡ませて歩ける?

よくも、まあ……腹が立つより呆れたが、次男が気にしていないのに私が気にしても仕方ない。「そうかお父さんも新しい生活しているんだね」と話は終わらせた。

ただ、どういうわけか、夫は会社から近いという理由で、車があるにもかかわらず私たちの家のすぐ傍に引っ越し、時々家の近くをマラソンしていた。見覚えあるナンバーの車が何回も近くを通り過ぎていた。

二十年も結婚生活していたからさすがに夫を見間違わない。

「別れたい」、「家から出て行ってほしい」と私に言った夫なのに、近くに住んで様子を見にきている。ストーカーされていると思って何度も警察に巡回していただいたくらいだ。

だから、その仲睦まじく新恋人と歩いている姿に安心した。離婚して二年で新恋人とラブラブ生活か。これを渡英中の長男に電話で話したら「吐きそう……」と言われた。

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