〈ちょいたし④〉身体症状のある主な精神障害

身体症状という点で最も近いのがパニック障害だと思います。パニック障害は不安障害に含まれ、パニック発作を起こすものです。

「パニック発作とは、突然激しい恐怖または強烈な不快感の高まりが、数分以内にピークに達する」ものと説明されています(DSM‐5)。

症状としては、動悸、発汗、ふるえ、息苦しさ、胸の不快感、嘔気、めまい、寒気、熱感など多彩です。パニック発作は、身体症状はありますが、強い突発的な症状で脳の誤作動とも言われており、行動が一時ストップするような状態です。ゆっくり休ませ、安心感を与えるようサポートすればほどなくおさまります。

その他、身体表現性障害(DSM‐5)や身体症状症(ICD‐10)がありますが、これらは身体症状だけではなく、それに伴う健康への不安や心配のため身体的には病気の所見がないにもかかわらず日常生活にも支障をきたしている状態であり、精神的に病的な状態(=障害)です。

また身体に対する不安や心配が拭い切れず、通常そぐわない感覚や考えがあります。これもちょっと違います。

身体表現性自律神経機能不全(ICD‐10)というのもありますが、自律神経のコントロール下にある器官、心臓や気管、胃や腸の不調を訴えますが大きな病変は見つからず、背景に心理的ストレスや困難な問題があることが多いとされる状態です。自律神経のコントロール下の器官をターゲットにし、症状を訴えます。これもまた少し違います。

今はあまり使われなくなった病名で自律神経失調症がありますが、どちらかというと不定愁訴に近いものがあり、更年期障害とも近縁で、心因やホルモンバランスに左右されるのでしょう。

その他、身体症状としてあげられ心理的要因の強いものとして、過敏性腸症候群(IBS)、過換気症候群(HVS)などがあります。身体病としての異常がなければメンタルクリニックを勧められることも多いです。

ここで登場する若者の身体症状は、パニック障害ほど強い症状ではなく、身体表現性障害ほど病的でもなく、身体表現性自律神経機能不全のようにある器官をターゲットにはしていません。IBS、HVSは重複することもあり治療対象となることもあります。

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