トイレの時は、一人のヘルパーさんが本人を直立させ、その間にもう一人のヘルパーさんが下着を下ろす。次に呼吸器を外して便座に座らせる。そして同時に痰の吸引をする。この過程があるので、今はトイレの時はヘルパーさんだけではなく、必ず家族の誰かが係わることにしています。

夜から朝までは家族だけで看ておりますが、このところ子供たちが仕事の関連で出かけることが多くなってきました。そこでいつもお世話になっている訪問医にご相談申し上げました。

今は、基幹病院で三か月に一度位の割で検査入院ということで、レントゲン、心電図など精密な検査をしてくださるので、この間に家族は仕事をこなします。

しかし、これ以外に家族に用事ができた時お預かり頂ける、いわゆるショートステイ的な病院があったらご紹介いただきたいということをお願いいたしました。

このようなわがままなお願いにもかかわらず、すぐに角川先生は神経内科医のいらっしゃる病院をご紹介くださいました。

面接の日、これからいろいろと長く御世話になることなので、先様にもわれわれ家族の人となりをお知りいただこうと思い、娘と婿二号、私の家族三人全員で出かけました。

そちらの病院の先生は、さすが神経内科のご専門医らしく、一日の痰の排出量、酸素設定量など詳しくお聞きになられました。そしてそのあとに、

「家族の皆さんとしては、いつまで生かせたいですか。主治医はあとどのくらいと言われていますか」

とこともなげに聞かれたのです。私は一瞬、聞き間違いではないかとわが耳を疑いました。先生は私たちが返事を躊躇していたので、聞き取れなかったのかと思われたのか、もう一度繰り返して、はっきりとした口調で、大きな声でおっしゃいました。

「あとどのくらいだと聞いていますか」

「家族の人たちはいつまで生かせたいと思っていますか」と。

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次回更新は5月2日、11時の予定です。

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※本記事は、刊行の書籍『ALSなんか怖くない』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。