極秘に小田義則を中心としたグループが智脳教と大手機械メーカーガネーシャを調べ始めた。公安に見張られながら同時に報道機関と接触し駆け引きを始める。野党勢力とも積極的にコネクションを築き始める。

第二章 神々を創造

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考古学を専攻していた滓亮太は古代の宗教に疑問を持っていた。古代の価値観なのか頭蓋骨を変形させて幻覚を見るようにしていたらしい。

幻覚が神との対話や妖精との対話を成立させていたのだろうか? インカやメソポタミアやエジプトなど変形頭蓋骨の例は数多くある。

滓亮太は元大脳生理学の教授の三崎学とのアポイントをとり変形頭蓋骨の複製を持って行って彼らの見ていた世界が知りたいと熱弁を振るった。

変形頭蓋骨のレプリカを眺めて興味深く聞いていた三崎学だが、

「変形させれば特異な成長、つまり何かの才能が生じるはずだが実は頭蓋骨自体が制限をかけているんですよ。脳の成長は頭蓋骨の大きさを超えられないとね。現代風に変形頭蓋骨のことを再現したければ脳の成長期刺激と同時に頭蓋骨を切り取れば良いんですよ。

変形頭蓋骨は変形による抑制の代わりに脳の空間的解放があるのですが頭蓋骨を取っ払えば全方向に脳の空間解放が起きますから」

これには倫理的問題があると認識しながら滓亮太は、「それができるんですか?」と聞いた。

三崎学「金次第、つまり大手スポンサーが付けば可能ですよ」

滓亮太は絶対この人は医療の倫理はなく研究対象としか見てないなと思いながら、

「私の知っている考古学のスポンサーですが大手機械メーカーガネーシャは医療メーカーでも大手です。いかがでしょう?」

悪魔に魂を売っても知りたいと思っていた。

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