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倉庫には大型バイクの大きさくらいの車のようなものがある。新型の製品だろうか? 100台はある。
恵〔それはチャリオット。監視兼爆縮ドローンを230体装備している移動型攻勢モニターよ〕
俊紀「おい、そこから画面が見えるのか?」
啓介「見えないよ。8人乗りの一番後ろの座席から一番前の席のノートパソコンなんか見えるわけがないよ」
俊紀「そうだよなぁ、どういうことだ? 恵とやら」
恵〔今はその倉庫には誰もいないわ。チャリオットの武装を見せるからハエを近づけて〕
ガシュッと音を出しチャリオットの横が開いた。ドローンが大量に装備されているのが確認できる。
俊紀「たしかに凄い技術だがこれが武器だと何故わかるんだ? ただの気象観測装置かもしれんだろ」
恵〔チャリオットの中枢システムを見せるわ。チャリオットの前方部分を開くからハエを近づけて〕
俊紀「だからこれが武器とはかぎらヴッ」
そこには手も足も無い人間に様々なコードが配置されている。
恵〔これが高速移動しながら230体のドローンを操作できる仕組み。これが健全な研究かしら?〕
一同に沈黙がもたらされた。
9
「危険性は認識した。しかし、上には報告しなければならん」
俊紀は帰りの自動車の中で恵相手にそう言った。
恵〔クーデターの首謀者は現与党なのよ。もみ消されテロが起きるわ〕
小田義則「あなたが何者かは知らんけどな。これが仕事なんだよ。今の与党が犯人とはまだ判断できんしな」
*
結果はその日のうちに出た。智脳教502倉庫におけるデータのすべての消去。
追求も禁じられた。
証拠データの消去は徹底されていてコピーされたデータであっても消去の為公安機関が動いた。