僕は皿とスプーンを並べ始めたカトリーヌを横目に台所を出た。

牧師さんの寝室のドアは開いていた。

僕は寝台に飛び乗り、眠っている牧師さんの顔を見つめた。

目の玉を真っ赤に燃やして見つめ続けた。

舌が飛び出しそうになるくらい苦しい。

僕は頑張った。

牧師さんが身体を小刻みに痙攣させ低い唸り声をあげた。

よし、これでいい。

これで、牧師さんは本当の事を警察に話す。

カトリーヌはもう大丈夫だ。

例のインチキ占い師にも使ったことがあるけど、僕のこの技は、神様からの僕への罰で、最高の贈り物さ。

僕は教会を出た。

骨がギシギシ鳴るほどへとへとだ。

黒い森の温かい腐葉土に身体を横たえてしばらく眠ろう。

こんな僕にはあそこがお似合いだ。

僕はおぼつかない足取りで黒い森を目指した。

いつも考えていたよ、リュシアン

鳥が飛ぶのを見ながら、いつも考えていた

あの鳥はどこに行くんだろうって。

私の掌のパン屑もボロボロの本も私のスカートも

あの鳥は知らない

私だけが鳥を見ているんだ

あの鳥はどこに行くんだろうって、ずっと考えていた。