夫婦2人分の標準的な公的年金収入を基準に、退職後の実支出を比べるとマイナスです。マイナス分を補うために、貯蓄を取り崩して生活費に上乗せした額は、月額約4万円と考えられます。このような経緯から「公的年金だけでは、退職後の老後生活費には足りない」というマスコミの報道につながったようです。

注 総務省全国家計構造調査家計収支の結果p.19図3を参照
退職後の無職世帯では、一般的には公的年金で日常の生活必要費用をまかなっています。17頁の図2で示したように公的年金収入のみでは、退職後の家計収支のゆとり費用まではまかないきれないのが実状です。
ゆとりのための老後生活費は、退職金を含めた現役時代の貯蓄の取り崩しでまかなうのが一般的な姿となっています。「老後資金2,000万円不足問題」は、良くも悪くも多くの人に老後のための資産形成を考えるきっかけを作ったことは間違いありません。
2.退職後の生活費の不安について
全国家計構造調査から、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の実収入と実支出をみると、マスコミの報道とは違った傾向がみえてきます。図3のように、実収入263,744円と、実支出264,680円の差額から65歳以上の夫婦のみの無職世帯の月間収支は、差し引き936円の赤字です。
収入の内訳をみますと、公的年金収入は239,058円で、実収入に占める割合は91%程度となっています。退職後の老後生活期間を30年間と仮定して、図3の不足額936円を基にすると、老後生活費の不足額は約40万円程度となります。

(出典)「2019年全国家計構造調査e-Stat家計収支に関する結果」表番号1-11第1-11表世帯区分 (4区分),高齢者世帯類型 (21区分),収支項目分類(細分類)別1世帯当たり1か月間の収入と支出-全国EXCEL(総務省統計局) (https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000032053930)を基に著者作成