なお、88カ寺には各県に一カ所ずつ「関所寺」が定めてあり、これはお大師様の審判を受け、「邪悪なものはここより先に進めない」という札所の事です。
19番 立江寺(徳島県)
27番 神峯寺(高知県)
60番 横峰寺(愛媛県)
66番 雲辺寺(香川県)
――の4カ寺が関所寺に定められていますので、順序を決める際の参考にして下さい。
参拝にはまた、適した時期というのもあり、猛暑の真夏、寒さの厳しい真冬、雨ばかりで足元も悪い梅雨時は、できれば避けるのが賢明です。ちなみに年間を通じて10回を目安としていた私の場合、真冬の2カ月だけはお休みにするパターンを基本にしていました。
へんろ旅に掛かる予算としては、歩きへんろの場合で1回につき40万円プラスマイナス10万円というところでしょうか。これは宿坊や民宿利用の場合で、先にあげたマイカーを使った野宿の場合等参拝方法と目的、装備品等、あるいはそれぞれの経済環境で大きく変わると思います。
これに加えて、最初にへんろをする際には、服装を整える等の準備のための経費が掛かり、へんろ笠、金剛杖、白衣上下、輪袈裟等、品質等に応じておおよそ1万円から10万円くらいというところですが、むろんお金を掛ければいいというものではありません。
現在の社会的環境に合わせて考えると、他の人から見て善良なへんろであると認識される程度なら十分で、宗教的修行の実践と位置付けてのへんろの服装は、あくまで個人的な自由の範疇だと考えます。
それよりも重要なのは装備品で、特に歩きへんろの場合は靴やレインスーツ、常備薬等を十分に吟味して必要十分に用意する様にして下さい。これについても、第七章をご覧頂くと参考になると思います。
日々の参拝については、他に納め札、写経用紙(写経をする場合)、納経帳、御朱印帳(それぞれ必要とする場合)、線香、蝋燭、それに火を点けるライター等が必要で、先にあげた宿坊・民宿の宿泊、途中の食事等で今はおおよそ1万円が目安になるでしょう。