二人の世界
メグ先生の動物病院は水・木曜日がお休み。土日開いていると、会社勤めの人がペットを連れてこられやすいからなんだって。
祝日も病院、朝九時から夕六時まで開いてる。急患も診る。夏休みも正月休みも四日だけ。
翌日がお休みの火曜日の夜だけ久松で朱美さんと二人でゆっくりする。この時だけ、メグ先生は朱美さんといつもノンアルじゃない瓶ビールの大瓶を一本飲む。
朱美さんは整った顔、韓国女優のチェ・ヒョジュによく似てて、背はそれほど高くなくて、とても可愛い。
でも、化粧っ気がないから、目立たないかもしれない。いつも髪を後ろでゴムで結ってお団子にしてる。肌は綺麗だ、小麦色っていうのかな、少し陽に焼けている。先生と同じ、歯が真っ白。
「歯は大事にっていつもいうの。歯ブラシに、糸ブラシ、いつも持たされてるの。歯磨き粉がなければ、塩でぶくぶくしなさいって、ほらね」
って朱美さん、ポケットから犬の絵が付いたポシェット出して見せてくれた。メグ先生も朱美さんも虫歯になったことがないんだって。
メグ先生の肌も小麦色。大リーグの大谷翔平選手に似てるっちゃ似てる。でも顔はもうちょっとシュッとしている。いつもニコニコしているから優しい感じがする。
二人ともいつも見つめ合って話してる。メグ先生を見る朱美さんの目はいつもウルウルしているように見える。火曜日の夜は嬉しそうに、ゆっくり、メグ先生にビールを注いでる。
「ビールでいいのか? 明日は休みなんだから好きなの頼めよ」
って言いながら、メグ先生、朱美さんからビール瓶をもらって、グラスに注いであげてる。