「今日は会えなかったけど、メグ先生には朱美ちゃんっていう人がいるの。あの病院で、あっちこっち手伝ってる。何でもするの。籍は入れていないらしいけど一緒に暮らしてる。もう長いらしいよ。いつも一緒に来るよ。明日の晩には会えるよ。そうそう、誕生日も同じ日なんだって」
ある日、驚いたのは、
「ホットドッグが食いたい」って無理なことを。ここは中華だよ?
「俺三本、朱美は二本でいいのか? 野菜モノも出して。トマトサラダにジャージャー麺の上だけかけて。それからコーヒー」
でも、おばちゃん、おじちゃん、
「あいよ」って、嬉しそうに冷蔵庫の中から食材を出してくる。
コッペパンに、それに長さを合わせたようなウィンナ、それを何とフライパンの上でこんがり焼いて、コッペパンの底にレタス敷いて、ウィンナを挟んで、その上に、たっぷりの玉ねぎのみじん切り乗せて、ケチャップ、マスタードをシュシュッとかける。
「朱美ちゃんのはチーズ挟まなきゃ」なんておじちゃん独り言。
「どうしてここのコーヒーはこんなに旨いんだろうな。豆だって特別じゃないのに」ってメグ先生。
「そりゃ愛情よ」っておばちゃん。
「愛してる?」
「そりゃ愛してるわよ」なんて話してる。
ホットドッグはとてもシンプルなのに、あたし、
「美味しそう!」って思わず口にしたら、
「後で作ってやっから」っておじちゃんに笑われた。
何でもサッサと食べる。
「おじちゃん、おばちゃん、美味しかった。ありがとう」
と二人で言って、いつも、そそくさと出ていく。あの人のこと、貧乏だと思ってたけど、いつも余計におカネを置いていく。
「あ、お釣り」と呼びかけると、
「取っといて、いつも無理言ってんだ」と手を上げ笑う。
「メグ先生はいつもそうなの、必ず多めにくれるの」って、おばちゃんは笑う。あの人、じゃない、もうメグ先生ってあたしも呼ばなきゃ。