私は父に一番似ていると言われて育ちました。耳の形まで父親似だとよく周りの人に言われてきました。
私が小学校低学年の頃、田舎の寄合があった際に父と一緒に参加しました。その時父が二十人以上の人の前で堂々と自分の考えを言う姿を見ました。すごく感動して素晴らしいと感じたのです。そのせいか、私もすぐにどこでも、自分の意見を言うのです。
父が亡くなる時の様子を書いておきます。
父は五十歳代だったと思います。碁会所で囲碁を打っていた時、立つことができなくなって救急車で病院に運ばれました。脳溢血でした。最高血圧が二〇〇近かったので数日入院しました。
そして父が五十七歳の四月七日、足利の自宅にいた今は亡き弟から「父親がトイレに行こうとして、急に頭が痛いと言いグーグーいびきをかいて寝ている」と、私の仕事中に電話がありました。私は、それは脳卒中で昏睡状態なのだと思い、「明日一番の電車で帰りますが、他の兄弟にも緊急の連絡をしてすぐに家に来るように連絡してください」と言って電話を切りました。
実家に帰宅したのが午後二時頃で、三時頃に内科医が往診に来て、その時父が亡くなったと診断しました。父は意識が戻らず逝ってしまいました。まだ五十七歳です。あまりも若かったです。生活のため、子供の教育のため苦労ばかりしてきました。母親は大声で泣きました。長い間共に過ごした人が異国の地で簡単に逝ってしまったことを不憫と思ったのでしょう。
父が亡くなるちょうど七日前、両親は私の助産師学校の卒業式に出席するため足利から東京まで来てくれていました。
卒業式が終わり、東京近辺に住んでいる私の兄の家に行ったり下の姉の家に行ったりと子供の家を訪問していたりしているうちに亡くなったのです。あまりにも突然の亡くなり方に、私達子供はただ衝撃を受けました。いつ命がなくなるかはわからないという学びなのかもしれません。
本当に私達は、両親が真面目に真剣に生きてきたから今があるのだと思います。
心から「ありがとう」を言いたいです。