感覚器と作用効果器
生体は情報処理する。ポール・ナースによれば、「あらゆる生命には、自分と子孫を永続させるという目的がある。あらゆる生命の中心には、情報がある。目的のための行動に、情報は利用される」[ポール・ナース,2021]生体は、外の世界と、自分の体の内側の世界と、両方から、情報を絶えず集めて利用している。
内外の環境の状況を把握するものを受容器官という。それらに応じて外部に働きかけるものを効果器官という。受容器官と効果器官とを連結し統括するのは、脳・神経系である。
受容器官は、特殊感覚と体性感覚とがある。特殊感覚は、特定の刺激に対して特定の場所にある器官が反応する。体性感覚は、身体に分散して存在し環境への反応を助ける。一般的に五感といわれるものは、平衡感覚と固有感覚を除外した、視覚、味覚、嗅覚、聴覚、触覚である。
一方、ヒトの効果器官には、機械系と音響系がある。機械系は、筋肉や骨格からなる手指や身体の機械的運動系である。モーター系とも。また、音響系とは、発声器官である。
● 受容器官
▶ 特殊感覚器官
視覚器
味覚器
嗅覚器
平衡・聴覚器(組織的に同居)
▶ 体性感覚器官
外部から受容する皮膚感覚
筋、腱、関節内で感知する固有感覚
●効果器官
▶ 機械的運動系
▶ 発声器官
情報媒体
視覚は、光という電磁波を感知する。聴覚は、空気ないし水の振動を感知する。触覚(皮膚感覚)は物理的刺激を感知する。そして味覚と嗅覚は化学的物質を感知する。運動系は、物体上の効果を持つ。音声発生は、空気振動を起こす。