なんでもたべるかいじゅう
すると突然、ムンゴは大きな口をあんぐりと開けて、木の実にかじり付いたのです。
エイミーはそれを見てびっくり。とっさに、ムンゴの大きな足にしがみ付いて叫びました。
「待って、それはブギーと半分こにするんだよ」
ムンゴは、足にしがみ付くエイミーを振り払って、うまそうに木の実をたべ続けました。
「だめだよ、半分こだよ」
エイミーは、もう一度、ムンゴの足に飛び付いて叫びました。ついにムンゴは、のどをゴクンと鳴らして、木の実を丸ごと飲みこんでしまいました。そして、口から木の実のたべかすをプッと吐きだしました。地面に転がるそれを見て、エイミーは肩を落としました。
「ブギーの分が。どうするの」
するとムンゴは、お腹を撫でながらげっぷをしました。
そして、周りに誰もいないか見回してから言いました。
「なあに。たとえば、ぼくがきみをたべてしまえば、誰だって気が付きはしないさ。いい考えだろう?」
ムンゴは、エイミーを見てよだれを垂らしています。
エイミーは怖くなって、森の中へ逃げこみました。
ズンズン……!
ムンゴは、地面を揺らしながらエイミーを
追いかけました。
エイミーは必死で真っ暗な森の中を
駆け抜けました。
体はすっかり疲れていましたが、後ろを振り向かず、生きるために一生懸命逃げました。
ムンゴは、木々をなぎ倒しながら、エイミーを追いかけました。
いつの間にかエイミーは、怖くなり目をつぶって逃げていました。
突然、地面が消えたと思い、目を開けると——
気が付いた時には、エイミーの足元に地面は無く、崖から落ちてしまったのです。
それきり、エイミーの姿は見えなくなりました。
ムンゴは、その様子を見ていました。首を伸ばして、崖の下を覗きこみ、「よし、帰ろう。誰にも見られていない」
エイミーを襲ったのを村の生きもの達に知られないように、びくびくしながら、自分の住みかへ帰りました。