山の住みかでは、ブギーが、村の生きもの達からもらった野菜で、夕ご飯の温かいスープを作り、ムンゴの帰りを待っていました。
「おかえり。ムンゴ。そろそろお腹がすいて帰ってくる頃だと思ったよ」
「もう帰ってたの、兄さん。お腹の中がすっからかんだよ」
ムンゴは、ぎこちない顔で答えました。
「エイミーが木の実を届けに来てくれるって聞いてね。嬉しくって、水汲みの途中で帰ってきたんだ。エイミーを見なかったかい? この山まで歩いてきてくれているらしいんだ」
ムンゴは、ブギーの眼を見られず、黙っていました。
「ムンゴ、さっきからどうしたんだよ。ご飯にしよう。さあ、温かいうちに」
ブギーは、地面に転がっているエイミーのカゴに気が付きました。
「そのカゴは、たしかエイミーの」
ムンゴは、びくりとしました。自分がエイミーにしたことを、ブギーに気付かれてしまう、そう思うと冷や汗が出て手が震えました。
ブギーは、木の実のたべかすが落ちていることに気が付きました。
「それは、おじいさんの木の実」