我々ホモサピエンスはあまたの思想、哲学、宗教を創ってきた。全て虚構だ。面白いけど実証できない。我々ホモサピエンスは面白いフィクション、物語を創る名人なのだ。想像、空想、架空、妄想、アルゴリズムなどを駆使するのが好きなのだ。そこでやはり信用できるのはマクロ観から創発される全体最適論だ。
現代宇宙物理論で分かっているのは138億年のマクロスケールだ。このスケールは時間の話ではない、この宇宙では速度はあるが時間は存在していない。故に時間ではなくフェーズ、場面の話だ。
この宇宙は138億年のスケールの無数のフェーズを、タペストリーつまり綴れ織りにしてきた。我々ホモサピエンスもこの地球上で20万年間、多種多様なフェーズを織ってきたのだ。故に我々現在のホモサピエンスは、人類生存上初めての、人生100年時代の多種多彩な生き方のフェーズのタペストリーを鮮やかに織っていくのだ。
昨今、長寿命化に伴う人生100年時代という言葉が世間をにぎわせている。確かに日本人をはじめ世界の平均寿命は延び、特に日本では急速化が激しい。
日本人の平均寿命はいつ頃から50年以上に達したのであろうか?意外と最近で1947年、昭和22年から平均寿命が50年になり、現在までまだ75年しかたっていないのである。
これを私たちの祖先である現生人類ホモサピエンスの20万年前の誕生から平均寿命期間時間を比較してみると、平均寿命50年以上の期間の75年間は0・003%であり、平均寿命50年以下の期間は99・997%になる。
ということは、我々人間はほとんど50年以下の期間で活動し、生まれてから成長後結婚し、子供を作り、育て終わったら死去した人生であったのだ。そこに突然長寿化人生が現れ、それも短期間で急速に長くなり、人生100年時代と喧伝(けんでん)されているのである。
まさに現代に生きる我々が人類史上初の経験をしているのだ。これほどの大転換期にたまたま我々の人生がでくわしたことは、私自身は非常に幸運なことと思っている。この状況において現出する課題はとにもかくにもこの「人類は長寿命化に慣れていない」ということであり、それは我々個人も社会も社会体制もである。