訴訟を起こせない日本、埋もれている多くの不正行為

日本で訴訟を起こすことは容易ではありません。訴状を提起することを一つとっても求める損害賠償額に応じた金額の収入印紙を貼って訴状を提出しなければなりません。

裁判を起こしたとしても原告側が立証しなければならない事項は数多くあります。ハードルは極めて高いと言わざるをえません。裁判所は「私のところには来ないでくれ」と言っているようなものです。

2021年夏、静岡県熱海市での土石流の事故のニュースが飛び込んできました。死亡者26名、行方不明者1名、約130棟が全壊、または半壊するという甚大な被害でした。

当初は大雨が原因と見られていましたが、やがて逢初川上流の「盛り土」が崩落して土石流となって流れ、それが違法に捨てられた産業廃棄物であることが明らかになりました。

日本のある報道番組がこの問題を取り上げ、有識者らが議論していましたが、違和感を覚えたのは、業者をもっと取り締まるべきとか、そのため罰金20万円を課して規制せよとか、もっぱら行政府に答えを求める議論に終始していたことです。

被害者がどう救済されるべきか、という話には及ばず、ましてや「民活」の力で不法投棄者の行為をどう抑止するかという発想にはなりようもない展開でした。

日本に米国と同じ制度があれば、被害者自らが土地の所有者や産廃を違法投棄した業者を訴えるでしょう。

それは大勢の被害者による「クラスアクション」となり、また業者の「悪質な行為」には高額な「懲罰的損害賠償」が課せられ、多くの被害者が救済されるはずです。高額な賠償に驚いた全国の同業者は、同じような不法行為を二度と繰り返さないでしょう。

何かあるたびに行政の責任を追及したり、政府に頼ろうとするのが日本の傾向です。日本では訴訟を起こしにくいがゆえに、表面に現れていない「社会悪」――公害や薬害、健康被害、製品の欠陥、不正請求などが数多く埋もれたままになっているのではないでしょうか。大きな問題だと言わざるを得ません。