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これは、遠い過去の物語。
ある1人の男の子が、ささやかで小さな・・・・・・・・けれど、ちょっと頼もしい決意をした、在りし日の物語である。
「ひっぐ・・・・・・ひっぐ・・・・・・。」
ある男の子が泣いていた。
まるでなにかに怯えているみたいに、この世界そのものに絶望しているみたいに、その男の子からは、様々な負の感情が読み取れた。
「最近、いつも泣いてんな。」
よく一緒に遊んでいるもう1人の男の子は、「泣いてねぇで元気に笑えよ。」・・・・・・・・と、泣いている男の子を励ます。
「怖いんだ・・・・・・。」
「なにが?」
「ま・・・・・魔物。」
「魔物?」
「知らないの? 昨日、近くの村が魔物に襲われて・・・・・・・・・住んでいた人達が皆死んじゃったんだ。」
「・・・・・・・・・・・」
「きっと、僕達の村にも来るよ。」
「・・・・・・・・・・・」
「ぼ、僕・・・・・・まだ死にたくない。」
「・・・・・・・・・・・」
「やりたいことがたくさんあるんだ。」
「やればいいじゃねぇか。」
「えっ?」
「魔物が来たら、俺が倒すから安心しろ!」
元気いっぱいで爽やかな笑顔を、男の子は見せた。
「できるわけないじゃん。」
「なんでわかるんだ? やってみなくちゃわかんねぇだろ。」
「そ、そんなの考えなくてもわかるよ! どうせ僕達は、なにもできずに死ぬんだ!」
「死なない。」
「どうしてそう言い切れるのさ!」
「俺がお前を守るからだ。」
「!」
「お前が泣かなくてもいいように、お前が安心して暮らしていけるように・・・・・・・・・・・・・・俺、強くなるから!」
「・・・・・・・・・・・」
「だから、信じてくれ。お前と2人で、ずっと一緒に過ごしていけるような世界を創るから!」
「・・・・・・・・・・・・・・うんっ!」
これは、遠い過去の物語。
ある1人の男の子が、もう1人の臆病な男の子のために、大きな存在になろうと決意した・・・・・・・・・・・始まりの日の物語である。