三章「ロマンシング・デイ」当日、彼らは帰ってくる

「今は国と国民の関係、隣国との関係も最悪。どこの国も本気で世界を取りに来ようとしている、いつ滅んでもおかしくない状況だもんな。やはり成功者がいう言葉の重みは違うな」

俺はドランの状態を見ても素直に感心することができた。

「それ俺がいったセリフだぞ。真似をするなよ」

トラヴィスはまた怒り出す。

「こういう怒りやすい原始的な人がいるのも、センター国の印象が悪くなる一つの原因なのかもな」

俺の言葉に三人はクスクスと笑った。トラヴィスは

「もう頭にきたぞ」

と拳で机をたたいた。厚い木の板を殴った音が響き渡った。

ヘラは

「何回も人の家の机をたたくなんて失礼じゃない」

と注意をした。

「何回もだと? 濡れ衣まで着せるのか。もう散々だ」

といったあと、トラヴィスはぶつぶつ小言を吐いている。

ステファニーは席を立ちあがり

「トラヴィスさんが机をたたいたのは一回だけですわ。あとは、どうやら玄関の方から聞こえてきたので扉をノックした音かと」

といい玄関へ向かおうとした。

「ステフィーは座っていてくれ。次は俺が玄関まで出迎えにいくよ」

「わかったわ。じゃあお願いね」

ステファニーは椅子に腰をかけた。

俺は玄関に向かい、その分厚い木の扉の前に立ち一息ついた。

扉の向こう側から

「表札がないからわかりにくいわ」

という話し声がとてもよく聞こえてくる。