日本人のマネジメントや社員のなかで、英語でコミュニケーションができる人が少ない場合、外国人マネジメントはどうしてもそういった人に頼ってしまいます。海外に進出した日系の外資系企業でも、似たようなことが起きているかもしれません。

よくよく注意しないと、日本語は堪能だけれども仕事はもう一つ、という現地の人の考えや意見をつい信用してしまう危険性があります。

多くの場合、少し時間がたつと外国人マネジメントはその社員の本当の能力を知ります。

しかしそれまでの間、外国人マネジメントはその社員の意見や示唆を信じて、誤った経営判断をするかもしれません。トップ・ダウンの経営で経営者が誤った認識のもとに判断をすると、実情を正しく反映しない経営戦略や経営目標を決定し、その達成を目指そうとすることも考えられます。

このようなことは、さすがに今ではそれほど多くないようですが、最近は次のような現象が生じています。

つまり社内における英語教育の強化や、昇格・昇進には一定の英語能力を求める人事制度の導入などにともない、英語を使える社員が急激に増加し、その結果たくさんの英語を使える社員のなかで、英語「は」できるのだがという社員の絶対数が急激に増加しているのです。

英語を使える社員は、英語を使えない社員よりも、結果として外国人マネジメントとコミュニケーションをする機会が増えます。

そして、日本人マネジメントや管理職から見ると英語「は」できるのだがという社員が、外国人マネジメントに重宝がられるケースが増加するのです。

当然ですが英語が使えることイコール有能とは限りません。重要なのは英語「が」できることではなく、英語「も」できることです。

一般の社員としてまた管理職として、必要とされる専門知識とスキルを持ち、率先してチェンジ・エージェントとなり、業務上の目標を確実に達成すること、これが外資系で、そして同じように日本の会社でも求められていることです。

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