⑨EGAMI イムフラ
空の国の民は多くの貴重な宝を守っている者達と噂を耳にした事もあったが、まゆつばもので今まで信じてはいなかった。しかし、ラムカが本物の空の民ならば、宝も実在する。この世界で最も貴重と言われている三種の神器。
それは、この世の全てを創りだす事が出来る神の力が宿った宝だとラ・エンカは聞いた事があった。しかしラ・エンカはエデンの花が手に入ろうとしている今、宝などは、どうでも良かった。だがカイゼル達、零族が役に立つだろうと考え、イムフラからラムカを奪う事を企み、カイゼル達に協力する事を条件に解放した。
縄を解かれたカイゼルは、胸を撫で下ろしていた。ラ・エンカが蜘蛛を送り込んでいた事は分かっていた。動物は虫には敏感で、耳から入った時に知られたくない記憶を守っていた。
ある人との約束は、決して誰にも知られないようにガードされてはいるが、ラムカを助け出したかったので、ある程度の情報を流しラ・エンカに協力を煽りそれが吉と出たようだった。
ラムカ救出
その頃、ラムカは円筒に開いた施設の最下層の部屋で、クラゲのような装置を頭に付け、そこから伸びた管は液体の入っ透明なフラスコのようなガラスの器と繋がっていた。
そのガラス器の内部を記憶使い達が覗き、頭を傾げながらイムフラに言った。
「やはり記憶の記憶は、何処にも見付かりません……」
イムフラは、そんな事はないと顔をしかめながら、冷たく吐き捨てた。
「続けろ……」
指示を出したその時、轟音が響いた。見ると部屋の外は、煙で満ちている。