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帆船は原始的に見える。まるで頑丈な1本マストの船だ。

川の流れは一方通行だが時々来る突風で球の空間を一周する。

ワルテル「冷たい太陽の自転に沿って湖や川や都市があるのは理解したけどな。極の方向は何があるんだ?」

アタワルパ「森林ですよ。ここの空気を作る木々や食材が豊富ですよ。極の方向に向けて鉄道が走ってます。運河では動力源に不安があるので薪で走る鉄道があります。とペイが言っている」

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コヨルシャウではそこかしこに完全な球体に削られた石が散らばっている。

家は木製の古い建築物だ。

雑草がそこかしこに散らばっていると思えば見えない何かが雑草を動かしている。

家に訪ねると村人がいた。

ワルテル「地上から来ました。とりあえず泊まらせてくれるところは無いですか?」

アタワルパ「皇帝ケリュの屋敷にどうぞだそうです。と言っている」

クステリア「雑草の中に何かいるんですか?」

アタワルパ「精霊が作物を収穫しています。と言ってる」

ケリュの屋敷は広い一戸建てのような印象であった。

ケリュはウロコに覆われていて青い宝石で加工された仮面をかぶっている。

住民は蛇の人々と鳥の人々がいるがコヨルシャウを治めているのは蛇の人のようだ。

そこかしこに新種の生物種で溢れケインは大興奮だ。

トカゲがモモンガのように皮を伸ばして木々の間を飛んでいるのが見えた。

この世界には肉を食べる風習がないらしい。

皇帝や長老に干し肉を配ったのを後悔した。

平和のための宗教のようなものかもしれないと思ったのだ。

ケリュにビスケットを渡した。

ケリュは仮面を取るが歯が尖った状態の他はカツラと付け鼻でも付ければ人間世界に来ても旅ができそうだ。

ただ頭は長い。

アタワルパ「これはうまいな。とケリュが言っている」

種子植物の生息し始めた時期だったらしい。

ピーナッツを粉にし蒸かしたまんじゅうのようなものが提供された。

個室に泊まるがそろそろ服を洗いたいと思い相談した。

クステリアは限界だったらしい。

形は違うがトイレはあるし皇帝クラスになると風呂もある。

しかし、フンハウには身体に色を塗るだけでほぼ裸だ。

住人にビスケットを一枚与えるから服を洗って干しておいてと頼むとやり方を聞いて喜んで洗ってくれた。

夜が無い世界だから時間感覚がわからなくなる。

個室で畳のような物で寝て熟睡した。

【前回の記事を読む】【SF小説】錆びた柱でできた秘密基地のような空間が現れた