「最後まで駄菓子をきれいに並べて、子どもたちを毎日あっと驚かせなきゃ……」

母は手を叩きながら喜んでおりました。

「それはぜひ頼むわ。アンタは駄菓子を並べるセンスがあるからね」

実家を出る前も実家に戻ってきてからも、お店の棚に駄菓子を並べるのは私の仕事ですが、毎回、褒めてくれるのが母でした。気分をよくした私も調子に乗って、

「ありがとうございます。センスがいいのは自分でも認めるわよ」と言うと、

「自分を褒めちゃうところがヨーコらしいなぁ」と父が笑いました。その笑顔を見ていたら、これからはゆっくりとしてもらいたいと思い、今後の六谷家のイメージが思い浮かびました。

「ねぇ、お店を閉めたらリフォームしようよ。大きなテレビやソファーを置いて、時代劇が一日中やっているチャンネルがあるから、申し込もうね」

「別料金なんだろう? 高かったら契約しないよ」と渋る父に、「大丈夫よ。そんなに高くないはずだから」と言いかけると、母からも『待った』がかかりました。

「ダメよ、ヨーコ。これからは少ない年金で生活するんだから、倹約をしなくっちゃいけないのよ」

「はい、はい、わかりました」

軽口を叩きながら明るく振る舞っていないと、涙が溢れ出そうになりました。