正の字

私は日常的に夢を見る。内容は様々で、日常の何気ない生活や、自分がアイドルになったり、芸能人が出てきたり、溺れる夢や爆発する夢、本当に様々な夢を見る。面白かった夢に出会えると、一本の映画を見たときのような感動すら覚える。夢なのに……。そのくらい私にとって、夢を見ることは幸福感をもたらすのだ。

今日はお出かけの日、後部座席の揺れにウトウトして眠ってしまった。目が覚めると、見たことのない場所。夢の中だ。そこには3人の女性、友達の直子と舞と千枝美の姿があった。3人は楽しそうに話をしている。周りを見ると、別荘のようだ。飲み物を飲みながらゆっくりと過ごす3人。

千枝実が外の空気を吸いに出かけていった。私は、だんだん視界が暗くなり何も見えなくなった。どのくらい時間が経ったのだろうか。だんだん視界が明るくなって、直子と舞の眠っている姿が見える。目を覚ます2人。

2人は千枝実がいないことに気づき、カーテンを開ける。外は、真っ白な銀世界になっていて、眠ってる間に雪が降ったようだ。直子と舞は心配で別荘中の窓から千枝実の姿を探す。

遠くにうっすらと人影が見えた。2人は急いで外へ出た。足元が雪で10センチメートル近く埋もれていて、歩くのも大変。近づくと、白い雪から赤い雪に変わった。目の前に現れたのは、胃や腸などの内臓がお腹から飛び出している残酷な姿の千枝実だった。

「誰かー助けてー、誰かーお願い」

舞が泣き叫ぶ。携帯を持ってなかったので、早く警察に連絡をしなければと、急いで別荘に戻る。だんだん雪が激しくなってきて、天気が荒れ始めた。直子が携帯で警察に連絡をする。通話が舞にも聞こえるように、スピーカーモードに切り替えた。

「助けてください。〇〇の別荘で友人が死んでいます。すぐ助けに来てください」

「千枝実が誰かに殺された」

2人は涙声で叫んだ。

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