Ⅱ 日本に生まれて
その後、どれ程長い年月を経たのでしょうか。ふたりは再び巡り会うこととなりました。かつて夫婦だったふたりは、日本人として生まれていました。その間にも姿を変え、どこかで一緒に生きていたかもしれません。
今回は、男女の性が入れ替わりました。お互いに長女・長男として生まれ、仕事上の関係で知り合い、結婚へと至ります。
女性として生まれたアヤは、男性での過去生が多かったのでしょうか。
外見的には大人しく見られますが、中身は、かなり男性的要素が強いといってもいいかもしれません。そんなアヤのことを見抜いていたのか、結婚の挨拶に初めて親同伴で、男として生まれた太蔵が家に来たときでした。アヤの父親は、
「うちの娘は、家庭には向かない女です」
初対面にもかかわらず、はっきりと言い放ちました。相手方は、どう思われたでしょうね。言われた彼女は、そんなこと言うかなあ……と、内心不満気だったことでしょう。そんなことはおくびにも出さず、ただ笑ってやり過ごすしかなかったようです。
けれども、その後は順調な成り行きで無事に結婚へとこぎつけ、共働きでの生活が始まりました。