女が去った後、暗闇の中に二つの光の点が現れた。その光はピンポン玉くらいの大きさで、白く光っていたものが次第にバレーボールほどの大きさになり、光を増し、大きな扇形になった。
英良は直視できずにいたが、目が慣れてくると、それは身長が二メートルくらいの人型であることが分かった。それもどこかで見た記憶のある二人の武人だった。
一人の武人は自分の剣つるぎを抜いた。その剣は剣から光の棒へと変わっていく。武人はその剣を縦横無尽に操り英良に向け斬りかかってくる。それは、新体操の選手のリボンのように……光のうねりとなって英良を追いつめてきた。もう一人の武人は英良達の対峙を見ていた。
「怨、怨怨怨」
武人は唸りを上げる。
「滅、滅滅滅滅滅」
英良は光の閃きをかわしながら後退した。美姫から伝えられた言葉を思い出し、唱えた。
「怨怨……」
武人は光の棒を槍の使い手のように両手でくるくる回して光を放ってきた。英良も光の結界を作り、応戦した。
「光点張福、滅滅滅」
「うう……爆爆爆爆爆爆爆爆爆」
武人は意外と思ったのか、苦悶の声を上げる。
「光点張福! 封封封」
武人の周りの光が渦のように回り始め、渦が獅子に変化し英良へ襲いかかる。まさに以前に映画で観たワンシーンのようで、二次元の世界のそれと実際に立体的な空間に自分の身を置いて動いているのは勝手が違った。そのスクリーンの中に自分がいる。英良は寸分の間合いで身をかわした。
「爆爆爆爆爆爆爆!!」
「光点張福、封封封」
爆音と共に凄まじい光のぶつかり合い……光で二人の身体が見えないほどに閃いた。