加えて、最近は、国や市町教育委員会から、新しい取り組みを迫られることも多くなった。 

そうした取り組みは学校全体に関わることが多く、どうしてもベテランに仕事が回ってくる。経験したことのない仕事を前にして、どう対応していいかわからない。けれども、自分の経験年数を考えると「できない」「わからない」とは言いにくい。そんな態度をとれば周囲から頼りないと思われる。 

だから、「管理職と相談して決めた」という切り札を持っておきたいのである。また、管理職にだけは、自分の思いを知っておいてもらいたいという気持ちもある。

私は、彼らのそうした“不安”に気づかず、何度もベテランを怒らせた。そして、ようやく対応の仕方を学んだ。こういうときは、「先生、大変ですねえ」「難しい問題ですねえ」と共感した後、「どうしたらいいでしょうねえ」と一緒に悩む(ふりでもいい)。

そして、「ああ、そういえばこういう方法もありますかね」とやんわり話す。

とにかく、不安を解消しよういうのがメインなので、答えを一緒に考えたという流れが必要となる。そうすることでベテラン教員のプライドも保たれる。

教頭は、校内で一番忙しい身である。すべき仕事が山積みで、できるだけ早く切り上げたいというのが本音である。しかし、それを避けるとその後の仕事に大きな影響が出てしまう。