①スタートラインに立つためには
医学部受験についてもう少し説明します。
まずは大学入試センター試験を受けて、一定以上の成績を得ることが必要です。2021年からは、大学入試センター試験に代わって、大学入試共通テストになり、全国で約53万人が受験しています。これは医学部に限らず、すべての大学入学を希望する人を対象に実施されます。この成績に応じて、大学の学部を選択することになります。詳細は専門情報を参照していただき、ここでは割愛します。
ただここで強調しておきたいのは、これまでのセンター試験では、主に知識の量や正確さを問う問題が多かったのですが、新しい共通テストでは、自ら問題を発見し解決していく、総合的能力が求められています。したがって長文を読んだり、図やグラフを見て考えたりする問題が、多くなっているようです。後述しますが、医学部で学習をしていく上でも、大切な学力です。
このような能力を、医学部受験の際にもしっかり鍛えていただきたいものです。医学部は入学のための偏差値が高く、相当な学力が求められています。医学部の入学試験には、英語、数学、理科(物理、化学、生物学)が受験に必須になります。国公立大学の場合には、これに国語と社会が加わることも多いです。これらの教科で高校の時には優れた成績を収めておく必要があります。
医学部受験では英語はもちろんのこと、数学や物理・化学・生物といった理科で高い成績を得ることが求められます。でもそのような学力は、医師として仕事をする上で、どの程度必要となるのか、疑問に思うことがしばしばあります。
確かに生命現象などを科学的・論理的に観察していく姿勢は大切です。でも人を対象とする専門領域だけに、文系的、社会的な発想も重要ではないか、とも感じます。国立大学では入学試験に文系科目も一部評価の対象となります。でも私立大学では、受験科目数が少なく、英語、数学、理科の成績だけで合否が決まることがほとんどのようです。
他方多くの私立大学の医学部では、推薦入学の枠が準備されています。その趣旨は一般入試の前に、一部の優れた学生を推薦枠で入学を許可しようとするものです。たいていの場合、高校での成績をはじめ、種々の学内活動や英語の試験(TOEFLなど)、そして学長の推薦も必要としています。高校から推薦してもらえるのは、ごく限られた人数でしょう。
もちろん将来医師としての適性を見る、面接などが用意されているようです。入学面接については、次の章で詳しく述べます。入学試験は本格的に始まる前に、推薦入試の合否がわかるだけに、ここで推薦合格が得られればありがたいとも言えます。