【前回の記事を読む】地域医療の貢献でき、良い経験となる…地方の大学に設置される「地域枠」とは
2 医学の分かれ道
③大学の医学部はどの大学も同じ?
大学によっては、特殊な事情で設置された3つの大学があります。いずれも授業料などの支援がある一方、卒業後一定期間の義務があります。でもそれを終えれば通常の医師としての立場は確保されます。以下に簡単に紹介しておきましょう。
まずはへき地医療や地域医療充実のために設置された、栃木県にある自治医大です。入学金と6年間の学費の全額を貸与する就学資金貸与制度があり、入学者は全員この制度で貸与契約を結びます。大学卒業後、貸与を受けた期間3分の2に相当する期間に、各都道府県が指定する公立病院等に、医師として勤務を求められます。
各都道府県で2、3名の枠があり、地域によって合格倍数は異なりますが、20倍程度のかなり高い倍率のようです。なお受験の時期が早いようで、この大学に合格して入学手続きをすると、他の国公立大学には受験をしないことになるようです。
北九州には産業医大があります。産業医とは、事業所で働く人たちの健康を保持増進するための業務に携わる医師を指します。卒業直後に大学の定める、産業医学総合実習を受講することで、産業医の資格が得られるようです。入学すると就学資金貸与制度があり、6年間の授業料などの負担はかなり軽減されます。他方貸与を受けた期間の1・5倍の期間産業医としての勤務を求められます。
もうひとつは埼玉県に設置されている防衛医大です。これは医師の能力をそなえた自衛官を育てることを目的に設置されています。入学と共に防衛省職員になります。いきなり職員となるため、入学員や授業料は無料で、かつ手当も支給されます。入試には記述式国語もあり、また二次試験では身体検査があり、心身ともに健康であることが求められるようです。
学生時代には自衛官としての訓練もあります。また卒業後9年間は自衛官としての勤務の義務があるそうです。