近藤哲二先生創始のバランス鍼法「新経絡治療」の画期的成果について
近藤哲二先生が唱える「新経絡治療」の画期的成果は、虚証経絡の井穴に接触鍼を貼付する事により虚証を消し、虚証領域にある、組織や器官や臓腑の炎症を解消する事に成功したことです。
近藤先生は、赤羽先生の皮内鍼をヒントにして、虚証領域の経絡の流れを電気信号と捉え、井穴に、パイオネックス0・3ミリを添付することにより、電気的に乱れていた気の流れを整流させ「オセロのように」反転させることに成功しました。その結果、虚証状態が解消されることを実証しました。
私は、日々の臨床で、長野式脈診法では左右差が分からないと感じていたと同時に、「虚証・実証」の概念とその解決法を知らなかった為に、いくら長野式治療法を正確に実践しても治療効果が挙がらないもどかしさも感じていました。
ところが、癌の補完的治療法を模索していた過程で、『医道の日本』平成13年3月号に掲載された、近藤先生の「癌の疼痛緩和・改善処置及び経絡の存在と鎮痛機序」という論文を目にして、私の疑問は解消されました。
臨床家の先生方には、同号の論文を熟読するだけでなく、近藤哲二先生のホームページを「天心治療院・新経絡治療」でダウンロードして、閲覧してほしいところです。それは、多岐に亘りますが、特記すべき点を、以下に列記します。※巻末文献欄にも記載します。
●経絡には、実症経絡と虚証経絡があります。実症経絡の支配領域の組織や器官は、気血が滞った状態に陥っており、泻法によって気を解放すると、正常な営みに戻ります。
●虚証経絡の支配領域の組織や器官は、気の流れが混乱しており、炎症状態に陥っています。この虚証状態を改善せずに、虚証領域に鍼を打つと、治療効果が得られないばかりか、病態を悪化させてしまうことがあります。
この場合には、その虚証経絡の井穴にパイオネックス0.3ミリを貼付して虚証を改善させてから治療をする必要があります。虚証か否かは、鍉鍼を井穴に当てて、気の詰まりが解消するか否かで判定します(注記:左右どちらの経絡が虚証であるのかの判定には、良導絡のチャートに示された数値が重要なヒントになります。私が、私の施術法の三本柱として掲げる、新経絡治療理論と良導絡測定値との整合性が、ここにも見られます)。
同時に、この虚証状態の改善方法は、長野式治療を補完する重要な指針ともなります。例えば、左肝経または、左肺経に虚証がある場合には、瘀血処置の効果が十分には得られなかったのですが、虚証処置をすることによって、瘀血処置ができるようになります。
同様に、膀胱経の虚証処置をすることによって、椎骨脳底動脈血流改善処置(所謂イヒコン)ができるようになり、三焦経や胆経の虚証処置をすることによって帯脈処置や側弯処置などができるようになります。
●消化器系の潰瘍や炎症の治療に際しても、虚証経絡にパイオネックス0.3ミリ貼付して虚証処置をすることによって、虚証を改善させて潰瘍や炎症を解消させることができ、さらには、実証をも改善させて、長野式ポリープ処置も効果的にできるようになります。
●一般的鍼灸治療は勿論、現代医学によっても難治性の高い疾患、例えばパーキンソン病や・うつ病型統合失調感情障害や・アトピー性疾患などは、各々、小腸経や心経や肝経や三焦経の虚証処置をすることにより、改善効果がみられます。