「皆さん、お疲れ様でした。一応表敬訪問も終わりましたので、明日からは旅行を楽しんでくださいね。服装もラフで結構です。夕食までにはカリフォルニアからのメンバーも到着しますので、今夜は合同で交流会を準備しています。通常のレストランではなく、特別会場を準備していますので楽しみにしていてくださいね」

すると学生の一人が「あのう。交流会って、歌ったり、楽器演奏したりできますか。何人か楽器を持っているので、演奏したいんですが」と尋ねてきた。

「宴会場ですから大丈夫ですよ。何か良い案はありますか」

「今から声をかけて相談してみます。中身はあとのお楽しみということで」

そう言うと、学生はめぼしいメンバーたちに声をかけ、相談し始めた。サンフランシスコを出たメンバーも、昼にはシカゴについているはずである。テキサス組同様、機内食を食べ、午後は市内観光をして、夕方にホテルへ入ることになっている。明日はテキサス組が午前中市内観光で、サンフランシスコ組がライアーズ本部を訪問する。午後には合同で市内の大学を見学したのち、次の訪問地であるバッファローに向かうことになっていた。

谷山たちシカゴへ

夕方、カリフォルニア組がホテルに到着した。

「やあ、どうですか。まだ始まったばかりだから問題ないと思いますが」と谷山。

「はい、おかげ様で。何とかやっています」

「夕食は、交流会だそうだけど、予定はどうなっているの」

「一応、席は決めてあります。それから、学生たちが楽器の演奏と歌を披露したいと言っていますので、良いアトラクションになると思います。そちらからも何かありましたら出していただければと思います」

「そうだな、みんなに聞いてみるよ」

「アトラクションの前に少し自己紹介も入れて親睦を深めるようにしたいと思いますが、よいでしょうか」

「いいね。君、新人のくせになかなかやるじゃないか」

フロントの方から支店長の松井がやってきた。

「やあ、谷山さん、それから石井さんお疲れ様です。今日の予定は山田さんから聞いてもらいましたかね」

「はい、いろんな趣向もあるようで驚いています」

「添乗の仕事はほとんど山田さんにお任せですよ。分業の必要があるときは私も手伝いますがね。まあ、新人とは思えない添乗ぶりです。ははは。さあ、夕食は六時半からにしてありますから、それまでゆっくりしてください。ではのちほど」松井はそう言うと、エレベーターの方に向かって歩き出した。

「じゃ、僕たちも部屋に行きますか」

「そうですね、では、六時すぎには宴会場の方に行くようにします」