【前回の記事を読む】「日本政府の考えは、あまりにも甘すぎる」少子化問題の本当の恐ろしさは…
第一章 日本経済の分析
安倍政権の国家運営
ここで安倍政権時代の国家運営、とりわけアベノミクスと呼ばれた彼の経済政策の思想と実態を解説する事によって、近年の日本経済の実情と、今後の日本経済の課題について詳しく分析したいと思います。
安倍政権時に行った「三本の矢」や「骨太の方針」、「一億総活躍プラン」など、様々な派手でわかりやすく、キャッチフレーズに富んだ経済政策の数々……、これらは全てアベノミクスと呼ばれる経済思想をもとにして、立案され、実行された経済政策でした。
では、このアベノミクスの実体とは、一体どのようなものだったのでしょう? アベノミクスを端的にいうと、日本の観光事業(インバウンド)の発展です。そもそも日本の財政、及び、経済の低迷の原因が少子高齢化だということに、いち早く安倍元首相は気づいていました。
しかし、できることなら移民だけは受け入れたくない……。そこで彼は、移民を受け入れずに何とかこの問題を解決するため、日本を世界的な観光立国に育て上げ、多くの外国人観光客が日本で落とすお金によって、日本の財政を立て直そうと考えていたのです。
そして、IRや東京五輪、大阪・関西万国博覧会など、その時々で外国人観光客を呼べるイベントを定期的に開催する事によって、日本の観光産業を発展させるばかりか、それに付随する建築やIT分野にも国が積極的な投資を行い、財政だけでなく日本経済の成長をも促そうというのが、「アベノミクス」の実体だったのです。
しかし残念ながら、これらを行うためには消費税を、どうしても増税せざるを得ませんでした。なぜなら、投資した資金を回収するには、訪れた外国人観光客から消費税によって直接税を徴収しなければならなかったからです。このため二〇一九年、各業界から様々な反発があったにもかかわらず、それでも消費税を10%に引き上げてしまったのは、実は翌年開催予定だった東京五輪で日本を訪れる外国人観光客から税を徴収したかったからなのです。
その証拠に、消費税を10%に引き上げた直後と、五輪が終了した直後に、彼は大規模な景気対策を予定していました。これは、消費税を上げると景気が悪化するとわかっていたためですが、それならばなぜ悪化するとわかっていて、消費税を10%にしたのでしょう? それは彼の中で、消費税によって五輪を観戦しに来た外国人観光客から、少しでも多くの税を徴収したかったからに他なりません。