シカゴ到着
「皆様、間もなくシカゴ・オヘア空港に到着いたします。シートベルトを着用ください」とのアナウンス。
窓の外には田園風景が続く。機体が降下し始めた。滑走路がグングン近づいてくる。ドーンとランディングの衝撃が伝わる。いつもランディングのときは少し緊張する。
「バンザーイ」と言いながら手をたたいている学生もいた。機内からタラップを降りると、空港ターミナルまではバスに乗る。普通のバスではなく、床が低い長方形である。ターミナルに着くと、荷物が出てくるまでしばらく待たされる。ベルトコンベアで運ばれ、スーツケースが出てきた。
「皆さん、自分のスーツケースを取って、出口を出たところで集まってください」
ほぼ全員、海外旅行は初めてのためスーツケースも新品である。しかもほとんどが、サンナイトのものである。しっかりした作りで壊れにくいと定評があるからだろう。真知子のスーツケースもサンナイトだが、三回目の利用のため少し色があせ、凹みもあるが、まだまだ使える。
空港からバスに乗り出発。
「では、これから、今日泊まるホテルに向かいます。ホテルにチェックインした後、皆さんを受け入れてくださったライアーズ本部を表敬訪問しますので、スーツなど正式な服装に着替えて、ロビーにお集まりください」
このライアーズ本部には真知子も二年前に訪れている。日本とアメリカそれぞれの会員の家庭に学生たちがホームステイするので、互いの本部に表敬訪問することになっている。
本部といってもライアーズの旗が飾ってあってお偉いさんがいるだけで、学生にとってはたいして興味がないところではあるが、ここで写真を撮って、帰国後それぞれの父親の所属するライアーズクラブに持参するのである。大人のメンバーであっても世界大会などでアメリカに来ない限り、この本部に来ることはまれであるから、まあ、儀式としては悪くないかもしれない。