◉自分の頑張りを過大評価していないか?

カナダ・ウォータールー大学のマイケル・ロスらの研究チームは37組の夫婦(うち20組は子供がいる)に実験調査(1)をしました。家事の分担、子供の世話など、生活における20の質問です。夫婦はそれぞれの調査項目について、自分と配偶者が決められた役割にどれくらい貢献していたか、数値による評価をつけてもらいました。

例えば皿洗いで自分と相手が半々の貢献と考えれば、50ずつ貢献したと評価するので合計100になります。しかし、結果は37組中27組の夫婦が評価の数値が100を超えました。つまり夫婦の両方、もしくは片方が自分の貢献度合を過大評価していたのです。

これは「責任のバイアス」と言われます。人間はどうしても、自分の貢献度を過大評価する傾向があると言われています。仕事でも、自分自身の評価と、上司からの自分に対する評価は、往々にして自分の評価が甘くなりがちです。

僕自身、料理、食器洗い、洗濯をしている時、目の前でママがスマホをいじっていると無性に腹が立ってしまうことが何度もありました。でもよくよく聞いてみると、保護者会の連絡や、塾のスケジュール調整等、ママは家のことをやっています。頑張っているのはお互い様。「してやっている」から「させて頂く」の意識を持ち続けたいですね。

(1 Michael Ross and Fiore Sicoly, "Egocentric Biasesin Availability and Attribution, "Journal of Personality and Social  Psychology 37 (1979):322-336.)

【コラム】子育てに対するパパのオーナーシップ

子育ては夫婦協力してやるもの。もちろんその通りです。しかし、僕自身、恥ずかしながら、妻の海外転勤までは、子育てに関する主体的な意識は正直低かったです。数か月間、自分一人で二人の息子の面倒を見ながら、仕事をするいわゆるワンオペ状態を経験し、初めて主体的に、育児、家事を行うようになりました。

子育てのオーナーシップを自覚したきっかけは、マンションの共有スペースで、息子達が楽しんでいたボール遊び。そのスペースはボール遊び禁止エリアでしたので、息子達に注意しました。その時に思った感情はこんな思いだったのです。

「しつけのなっていない親と思われるのが嫌だな」

つまり、世間体を初めて気にしました。裏を返せば、ようやく子育てが自分事になった瞬間。「ちゃんとした親と思われたい意識」を自覚しました。後に妻が帰国し、家族全員で暮らすことになりますが、学校からの第一連絡先を僕に変えました。つまり、保育園や学校でのトラブル対応の責任者は僕。トラブル時は、世間体や様々なプレッシャーがあり、親力が試されます。

今まで妻一人で背負っていたプレッシャーを開放し、解決に向けて主体的に行動する役割を担うことによって、親として一歩成長したと感じることが出来ました。