【前回の記事を読む】「パパという役割の前に、男性であり、人間である」整理するべき人間の欲求

第1章 パパを取り巻く現状

女性の気持ちは一生理解出来ないのか?

◉男性脳と女性脳の違いを理解しているか?

ベストセラーとなった『妻のトリセツ』(黒川伊保子著、講談社2018)では、男性脳は「問題を解決する」、女性脳は、「共感を求める」と記述されています。僕もかつてそうでしたが、妻がネガティブなことを言うと、それを解決しようと一生懸命アドバイスをしていました。

しかし、妻からすると、アドバイスは求めていません。アドバイスを受ければ受けるほど、不機嫌になります。理由は、夫が共感してくれなかったから。これが知らないうちに地雷を踏む代表的なパターンです。

ママの機嫌が急に悪くなったら、余計なコメントをしているか見直したいところです。

◉女性の興味の変化を認識しているか?

パパにとって、女性脳を理解することに加え、非常に大切なことがあります。それは、女性はライフスタイルの時期によって、興味関心の分野が大きく変わるということです。ここが男性と大きく異なる点。ではどのように違うのでしょうか。

次のグラフは株式会社東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長渥美由喜氏の『女性の愛情曲線の変遷』(『共同参画』2010年7月号内閣府男女共同参画局)です。こちらは、女性の関心事の曲線を時系列で表したグラフです。

注目すべき点は、出産を機にパートナーへの関心が、子供への関心に一気にシフトしていることです。そして恐ろしいことに、産後半年間、夫が妻のサポートを怠った場合、夫への関心が戻らないことを示しています。ここでのポイントは2つあると思っています。

1つ目は、特に産後、パパは最大限に家事、育児を主体的にやること。

2つ目は、ママの関心事は、変わるのが当たり前であることを理解すること。

このことを前提にコミュニケーションを取る必要があります。かつては燃えるような愛情に満ち溢れ、夜のスキンシップも盛り上がっていたことも、産後は遠い過去になるケースもあることを理解する必要があります。

僕自身、このグラフを知ったのは、パパママ向けの講演会でした。長男が生まれてから1年後でしたので、ゾッとしました。愛情低迷グループに入らないよう、第二子、第三子の時は、特に産後のママのケアに一生懸命だった記憶があります。

熟年離婚した母親との話で、衝撃的だった思い出があります。それは、第三子が生まれた際、父親の非協力的な態度に相当怒っていたことを僕に打ち明けていました。僕からすれば、

「30年以上前の話なのに、まだ根に持っているんだ……」と思いました。

そして、その非協力的な態度により、父親に対する愛情は一気に冷めたそうです。今思い返すと、

「あ、これが低迷グループだったのだ……」と。

『妻のトリセツ』で女性が過去の記憶を持ち出すことを、次の通り表現しています。

「女性脳は、体験記憶に感情の見出しをつけて収納しているので、一つの出来事をトリガーにして、その見出しをフックに何十年分もの類似記憶を一気に展開する能力がある」

この辺りは男性としては理解しにくい点ですので、パパとして、しっかり認識しておく必要がありますね。また、関心だけでなく、体型、環境、考え方など、多くの変化があることを理解する必要があります。