【前回の記事を読む】家でのイライラ回避法!ポイントは「ビリーフを書き換えること」
第1章 パパを取り巻く現状
人間の本能と上手に付き合うには?
〇人間の欲求を整理する
私達人間の行動の源となるのが欲求です。私達はこの欲求を満たそうと行動します。逆に満たされないと、不満、ストレスの原因になります。
欲求は色々な種類があると言われていますが、有名なのはアメリカの心理学者アブラハム・マズローの欲求の5段階説ではないでしょうか。『人間性の心理学』(A・H・マズロー著、産業能率大学出版部 1987)で述べられている5つの欲求は次の通りです。(%は満たされると満足する割合を指します。)
①生理的欲求(食欲、性欲、睡眠欲など:85%)
②安全の欲求(安心して安全に生活したい:70%)
③所属と愛の欲求(所属の欲求、恋人から愛されたい:50%)
④承認の欲求(自分で認めたい、他人から称賛されたい:40%)
⑤自己実現の欲求(夢に向かって行動したい、社会に貢献したい:10%)
パパという役割の前に、男性であり、人間です。まずは自分自身の欲求が満たされているか、確認してみましょう。不満がある場合、どこかの欲求が満たされていない可能性があります。更に自分だけでなく、パートナーや子供の欲求が満たされているかも意識しましょう。
〇生理的欲求を軽視していないか?
この5つのそれぞれの欲求が満たされるかどうかと感じる割合は、欲求の種類によって、達成度が異なります。例えば、生理的欲求は85%達成しないと、満足感が得られないのに対し、自己実現の欲求は10%達成したら満足感が得られると言われています。
生理的欲求(すなわち、食欲、性欲、睡眠欲)が満たされると感じる達成度は85%です。しかし、育児に追われ、美味しいものを作る、食べに行く時間がない。夜の夫婦生活について満たされていない。授乳、夜泣きで寝不足がちである。このような状況であれば、85%の達成は難しそうです。
更に、出産直後は赤ちゃんのことで手一杯ですので、パパへの関心は極端に下がると言われています。そうなると夫婦の営みについてもギャップは生じます。つまり求めるパパと求めないママ。ママの生理的、心理的な変化を考慮した対応がパパには求められます。
私達は理性のある人間の前に、種の保存という本能を持った動物です。食欲、睡眠欲をなるべく満たす努力をしながら、性欲についての相互理解が得られる対話が非常に重要です。