二章 「ロマンシング・デイ」前日
百二十坪のガーデンがあるこの家に住めた俺は運がいいのかもしれない。
俺がとことんガーデニングにはまってしまったことにはライトも驚いていた。しかし、これはあることが原因で、俺が過剰にストレスを抱えてしまったことに同情したステファニーが提案したものだった。ライトとあの拠点で別れた時から、皆と再開するまでの準備を終える期間はあれこれと骨を折ったり苦しい思いをした。だが、この苦労は誰にも知られるわけにはいかない。心の深層部分にもう一度しまっておこう。
過去の出来事が原因で過剰にストレスを抱えてしまった俺は、ガーデンのリフォームをすると心が安らぎ、これまでのストレスを解消してくれると勧めてくれたステファニーのおかげで気持ちに折り合いがついたのだった。
引っ越してきてから随分とガーデンのイメージが変わった。
全く手入れをされていない天然芝のガーデンは雑草がたくさん生えていて、虫の楽園のようだった。そこで芝生ごと雑草を刈り、自然石を玄関までの道沿いに敷いた。植木の周りにはレンガをインターロッキングという手法で上手く組み合わせ、残りの敷地には人工芝を敷いてきた。あの駅でみたレンガによく似たのを買い、記憶に焼きついている駅郊外の光景を頼りに独学でガーデンをリフォーム出来る程度の技術を磨いてきた。
隣の家のガーデンよりもいっそう見栄えがあるガーデンにしたことに優越感を抱いたのだ。