【前回の記事を読む】「私もなれるでしょうか、聖人に!」1976年、多感な時期を切実に描いた少女の日記
15才(中学3年秋~中学卒業) 1971年10月27日(水)~1972年3月16日(木)
10月29日(金)
午前中授業でした。バスからおりようとすると運転手さんから定期券を見せなさいと言われました。私は別におどろくこともなく定期券を見せました。
「よろしい」
と言われてちょっと考えながら歩いていたのですが、それが何となく腹立たしくなってきました。その時は自分で腹を立てていることに少しも気づかなかったけれど渡瀬さんに頼まれて『カトリック入門』という本をセント・ポールの店で買ってすぐに気がつきました。
私の荒々しいこの気持ち、すぐに恥ずかしいと感じましたが、私はいつもぶつぶつ、ぶつぶつ言いながら、この世に多くの不満があるような顔をしているんだナ。そして何にでもすぐ腹立たしくなってしまう。私は情けなくなってしまいました。
自分に対して、他人に対してどうだったでしょうか。人は傷つきやすいもの。少しの悪い行ないも、その人にとっては強く心に残るでしょう。そのために私はいつも他人に対して敏感でなければなりません。一つの大きな罪をおかしました。
家に帰って一息つくとテーブルの上においしそうなお昼のおべんとうがありました。母が作っておいてくれていたものでした。テレビをつけて食べながら見ていると、電話が鳴りだしました。梅田さんからの電話でした。でも私は外へ出ることができませんでしたから、下のほうをみて答えてしまいました。それが合っているかはわかりませんが、それがあまり重大なことではないといいのですが……。
私はいいかげんなものですから何でもそういうように片づけてしまういけないくせがあります。そこで又、母と口争いになってしまって、もう本当にいやな思いをしました。そしてすぐにベッドに入ってぐっすり寝てしまいました。母はあきれかえって私を見ていました。