【前回の記事を読む】旅行の計画立案のように…ビジネスの進めるには「目的を定めること」が重要なワケ

序章 サロンビジネスの「そもそも」

ポジションの確認(「トレンド型サロン」と「ローカル型サロン」)

今の時代、美容室やネイルサロン、整体などといったサロン店舗はそれぞれ多種多様なスタイルで運営していますので、ひとくくりにはできません。しかし、僕はサロンの運営形態は大きく2種類に分けられると思います。それは、トレンド型サロンとローカル型サロンです(以下、トレンドサロン、ローカルサロンと略します)。

ここでいうトレンドサロンとは、東京の青山や原宿、表参道などに構えているような店舗であり、出店している“地域外に居住する顧客”がメイン対象となっているという特徴があります。一方のローカルサロンは、出店している地域の半径約1キロ圏内に住む人々を主な顧客として集客している、いわゆる“地域住民に密着した営業形態”をとっているサロンです。

美容室の場合ですと、歴史的には後者のようなローカルサロンでの営業形態が原点なのですが、80年代からはじまったバブル景気を迎えたあたりから、トレンドサロンという新たなスタイルが出現しはじめました。しかし、現在でも統計的には全国の美容室の9割以上がローカルサロン形態をとり営業活動しているとのことです。

このような両者、トレンドサロンとローカルサロンでは、同じサロンであっても、まったく形態が違い、営業手法は似て非なるもの。両者の営業手法の違いをひとことでいうならば、トレンドサロンでは、「経営知識」がより問われ、ローカルサロンでは、「人間味」がより問われるかと思います。

なぜかと申しますと、トレンドサロンの場合では、顧客の流動性の高さが期待できるので開業年数が経過していたとしても、新規確保の集客なども継続した一定比率が期待できます。そして、スタッフについても、欠員が起きたときに採用がローカルな場所よりも、比較的容易だったりするので、集客や人材確保などといったところの経営力やマネージメント手腕が要となることが考えられます。

これに対して、ローカルサロンの場合は、トレンドサロンとは対照的で、地域に住んでいる人が主なターゲット顧客となる場合が多いため、新規客の囲い込みに限度があったり、ローカルな地ゆえスタッフの確保などについても、採用に関しては厳しくなることが予想できます。

ローカルサロンのようなタイプでの営業は、顧客の流動性が見込みづらく、よって重視することは、リピーターの確保が必須です。つまり、いかに一度ご来店していただいたお客さまと長きにわたりおつきあいできるのか? が最重要課題となるのです。スタッフ問題も然りで、ローカルな立地では離職者が出た場合の補充に苦労することを見込んで、設立当初から少人数での営業形式で行う、などといったようなことを考慮しなければなりません。

このように、最低でもトレンドサロンとローカルサロンの違いを、スタート時(店舗オープン時)において、しっかりと把握して自店の営業方針を考えておかないと、長きにわたる店舗存続に無理が生じてしまいます。