はじめに
高校時代の友人仲間と、月一度古街道歩きの会を始めてから十数年経つ。
長い歴史の年月、この道を通ったであろう人々への思い、自然、当時のインフラ事情への興味、もちろん健康増進の目的も含めての歩く会だが、ここで私は度々期待してはいなかったある出会いをした。あちらこちらで目にする句碑である。
公園の片隅に、城跡に、建物の陰に、山道の大樹の下に、寺や神社の境内に、田舎道の道祖神の隣に……。日本中の場所に人の詩心がばら撒かれている。世界中のどこに他にこんな国があるだろうか。
様々な人々の、様々な年代の句碑と出会い、それぞれの一句の背景に想いを馳せるのも、歩きながらの私の楽しみの一つになった。