【前回の記事を読む】他国を脅威として感じにくい?米国と日本の“他国に対する感情の共通点”が多いワケ

第一章 結論(日米関係と今後の中国)

日米関係

この傾向は良し悪しの判断はできないが、米国にとってはほとんど問題とはならない。なぜなら、相手国の出方によって硬軟いずれにも対応可能な国力をもっているからである。しかし日本の場合は違う。対応によっては大きな影響を受けるからである。従って、日本の国防や外交は米国追従(米国頼み)だけで安心とはいかない。

ピューリタン革命に端を発する教徒たちを先祖に持つ米国は、個人主義や利潤追求を重視する国益至上主義の国家であり、この精神は今後とも変わらないといえるだろう。

加えて大統領制度と国内の人種の坩堝化(るつぼか)(価値観の多様化)は、わが国や英国などの立憲君主制の国家が伝統的に持っている「信義・儀礼」に対する感覚が希薄になる可能性が高いと考えられる。

また戦後GHQが日本を支配していた時期に、日本人を見下すような体験もしてきている。これらのことを決して見落としてはならない。これらのことを念頭に置いて運用することによって、日米同盟はより一層ゆるぎない同盟となるであろう。

歴史を参考にして相手国の成り立ちを知り、その辿ってきた道を尋ねて、後に自国との接点を求める手順が必要となろう。当然自国を知らないと接点は求められない。

現在の日本は、私から見てもその形(国柄)を漠然としていてつかみどころがない。それは他国からもそのように見られていると思わなければならない。

このことは疑心暗鬼(誤解)を招きやすく、メリットよりもデメリットのほうが大きいといえる。なぜなら世界は集団安全保障体制の時代に入っているからである。連合体制は常に結束する努力をし続けなければ綻びやすい。自由民主主義国家と同じように。