小説 『スノードロップ―雪の雫の日記―[注目連載ピックアップ]』 【第4回】 降谷 さゆ 「夕方の電話が最後の会話になった」…1時間後、彼女は変わり果てた姿で見つかった。帰宅ラッシュの中、歩道橋下に倒れていた。 【前回の記事を読む】婚約者が『“安置されている”病院に、今すぐ来ていただけますか?』…警察からの突然の電話に、急いでタクシーを拾って向かうと…カーテンの隙間から明るい光が差し込む。「……朝、か」今日も梅雨にしては珍しい晴れの日のようだ。いつもだったらすぐにカーテンを開けて清々しい日の光を部屋に取り込んで、朝にはめっぽう弱い彼女に「おはよう」「そろそろ起きて」と優しく声をかけるのに、今僕の隣には誰…
小説 『夜幻水鏡抄』 【第9回】 堀内 ナオミ 学校帰り、いつも眺めていた「赤いチューリップのお家」――普通の家族に憧れた少女は、なぜ排水口に上履きを突っ込んでしまったのか 【前回記事を読む】「髪の毛、食べてる」その一言のあと、小2の私が“見られないため”に選んだ行動とは――学校の帰り道にずっと気になっている家があった。「赤いチューリップのお家」と心の中で密かに呼んでいた。何の変哲(へんてつ)もないブロック塀(べい)と、そこにぶら下がったビニール製の青い郵便受け、塗装(とそう)が少し剥(は)げている木製の茶色い門扉(もんぴ)、鮮やかな青の屋根瓦(がわら)、雨露に晒(…